大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ネ)1392号 判決

なお、職権を以て調査するに、本件記録によると、次の事実を認めることができる。すなわち被控訴人の本件訴状には請求の趣旨として、本件建物の所有権移転登記手続を求めるほか、控訴人に対し本件建物の明渡を求める旨の記載があり、昭和二十八年六月九日午前九時の原審における第一回本件口頭弁論において、控訴代理人は訴状に基いて請求の趣旨並びに原因を陳述したのであるが、その後控訴代理人は昭和二十八年六月十一日附「原告の表示訂正並に請求の趣旨減縮の申立」と題する書面を原審に提出し、同年七月九日午前十時の原審口頭弁論において右書面に基いて陳述し、建物明渡の点は本訴において請求する意思のないことを明かにした。そして右請求の趣旨の訂正に対しては、右口頭弁論期日に出頭していた控訴代理人において何等の異議も述べなかつたものである。

以上の事実を認めることができるのであつて、これによると、本件建物明渡を求める部分は被控訴人において訴を取下げ、右取下は前記口頭弁論期日から三ケ月を経過したときに効力を生じたものといわなければならない。しかるに、その後終結した口頭弁論に基いてなされた原判決は控訴人は被控訴人に対して本件建物の明渡義務あるものと説示し主文で控訴人にこれが明渡をも命じたものであるから、結局原判決はこの点で、当事者の申立てない事項について判断をし判決した違法があるものである。

してみると、原判決中本件建物の所有権移転登記手続を命じた部分は相当であるけれども、建物明渡を命じた部分は失当であるから、原判決は右の限度にこれを変更することとし、民事訴訟法第三百八十五条、第九十六条、第九十二条を適用して主文のとおり判決する。

(浜田 仁井田 伊藤)

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